瀬戸内寂聴さん、晩年の48歳下との愛欲を描いた『J』は実話?

相手の写真も!? 寂聴さんの晩年の48歳下との不倫を描いた『J』は実話なのか検証しました。

『J』は瀬戸内寂聴さんの実話かどうか調べてみたら衝撃の事実が! お相手、母袋晃平の写真も!!

 

『J』はどんな内容?

高名な作家であり尼僧でもある”J”と、37歳のIT起業経営者母袋晃平(もたいこうへい)との濃密な不倫関係を通じて、Jの激しくも切ない、愛と憎しみの作家人生を振り返る、延江浩氏による小説。

老いらく恋の豊穣な息遣いが聞こえてくるような生々しい性描写が衝撃的です。

 

愛があれば半世紀の歳の差なんて!

 

本当なんでしょうか…

 

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『J』は瀬戸内寂聴さん?

文中では「J」となっていますが、瀬戸内寂聴さんがモデルであることは間違いありません。「花芯」をはじめ、彼女の代表作がたくさん引用されていますし、作中に書かれているJのプロフィールを見ても寂聴さんそのものですね。巻末の参考文献も隠す気があるのかというくらい寂聴さんの著作が並んでいます。

また、著者である延江浩氏も週刊誌などのインタビューでJが瀬戸内寂聴であることを明言しています。”J”としたのは著者いわく”小説の流儀”だそうです。

 

 

 

著者の延江浩氏はどんな人?

1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業しています。TOKYO FMの社員で、村上春樹氏のラジオ番組『村上RADIO』ゼネラルプロデューサーをつとめています。また、早稲田大学文化推進部参与、早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)アドバイザー、国文学研究資料館文化庁共催事業「ないじぇる芸術共創ラボ」委員もされています。手がけたラジオ番組は、ABU(アジア太平洋放送連合)ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞放送文化基金賞最優秀賞、日本民間放送連盟賞最優秀賞、JFN大賞など数々の賞を受賞しているそうで、敏腕プロデューサーといったところでしょうか。

また、作家としては『アタシはジュース』小説現代新人賞を受賞していて、小説以外にも『愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家』『松本隆 言葉の教室』のような人物伝も書かれています。

 

『J』は実話?

これはわかりません。85歳の老婆とセックスに耽る37歳男性なんて、現実にいるとはなかなか思えません。主人公である「母袋晃平」をググってみてもこの小説のことしか出てきませんので、やはり仮名と思われます。ただ、プロローグに登場する編集者の「壺井円」やその上司の「石原正康」をググってみると、こちらは実在する方のようですので、仮名と実名が混在しているようですね。

著者はほとんどがノンフィクションだと言っています。特に寂聴さんの48歳下の恋人”母袋晃平”のモデルとなった人物には何度も取材をして『J』を執筆したそうです。ですから、85歳の尼僧と37歳IT企業の社長との体の関係を伴った交際は事実だと言っていいようです。

 

85歳とセックスに耽る37歳IT起業家 母袋晃平の正体

そこで、作中で紹介されている「ふしだら」の電子書籍を制作した会社を調べてみると、「株式会社G2010」という会社のようですが、こちらの代表が船山浩平となっています。字は違いますが、主人公と同じ「こうへい」とも読めますね。

prtimes.jp

また、上記の記事中には、瀬戸内寂聴さんが株式会社G2010に出資参加されていること、元は作家の村上龍氏と船山浩平氏のプロジェクトであったことが書かれています。『J』の中でも「電子書籍ビジネスを共同で始めた作家鷲頭良一の~」と出てきますが、鷲頭良一が村上龍氏であるとすると、状況はピッタリあいますね。下の記事の写真で村上龍氏、吉本ばなな氏とともに写っているのが船山浩平氏です。

internet.watch.impress.co.jp

作中で母袋晃平は「190センチを超える長身で色黒の優男」と紹介されていますが、たしかに背が高くてかっこいい方ですね。この方が母袋晃平のモデルかもしれません。こんな方が85歳の瀬戸内寂聴さんの最後の愛人???だとするとすごい話ですね。

 

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感想(12件)

85歳女性と37歳男性の不倫関係は本当だったのか

著者は事実をもとに、一部想像力で肉付けしたと言っています。ですので全て実話なのかどうかはわかりません。瀬戸内寂聴さんはもう鬼籍に入られていますので、”母袋晃平”が一方的に言っていることが事実かどうかは確認することもできないでしょう。

とはいえ、実話でなかったとしても、瀬戸内寂聴さんは激しく人の心を揺さぶる愛を書き続けてきた稀代の作家です。こんなことがあったとしても不思議ではありません。死後もこんなふうに話題になるなんて、やっぱりすごい方なんですね。

 

延江浩著『J』(幻冬舎)、まだお読みでないかたはぜひ読んでみてください!